自分の信念とスタイルを貫き、熱狂の渦を巻き起こすアクロバットスタイルのブレイクダンサー
福岡県久留米市出身のB-BOY SHUVAN。10歳からダンスを始め、現在ダンス歴は28年目を迎える。3人のアクロバットダンスクルーで活動中、ブレイクダンスに魅了されたことをきっかけに、改めてブレイクインチームとして九州男児を結成。現在は主にブレイクダンスを軸に踊りながら、スタジオ経営、アイドルの振付、DリーグのKOSÉ 8ROCKSの監督兼選手という形での活動をしている。他にもFOUND NATIONというブレイクダンスチームにも所属しつつ、九州男児の専属インストラクターとリーダーも担う。幅広い活動をしながらも各所で結果を残し、世界からも注目される彼に、ブレイクダンサーとしての流儀や様々な活動の経験談を聞いた。さらに、本番1発撮影のダンスムービーも公開。ぜひどちらもチェックしてほしい。
Q、九州男児として活動を始めて現在に至るまでに印象に残っていることを教えてください。
「一番大きい出来事はやはりメンバーのISSEIとの出会いですね。彼はものすごいダンスのセンスを持ち合わせいて、九州男児をここまで引っ張ってくれたのはやはり彼の存在が大きいです。ただ実は、最初の印象は良くなくて(笑)。自分が経営しているスタジオのトイレで、ダンスが踊れないって1時間ぐらい泣いている男の子がいたんです。こんな面倒くさい子誰?と思って、ドア開けたら綺麗な顔の子が泣いていて、それがISSEIとの出会いでした。ダンスはセンスの塊だったけども、彼は変わり者な一面もあり、メンバーの中でも1番長い付き合いではあるのですが、たまに絡みづらい性格の持ち主であります(笑)。普段の生活の態度、先輩に対しての口の聞き方などを最初から教え込んできました。ISSEIっていう人物を育てるために費やした時間がすごく長かったように思います。でもそんな彼も成長して、最初は内気で、自分をさらけ出すのが難しい人間だったんですけども、そういう子が世界まで登り詰めたんです。全然最初は世界に行けるとも思わなかった子が自分をさらけ出して上まで行っている姿をみて、チーム活動、地元の子供達を引き上げるための団体活動はすごく大事だなと思わされ、今の活動に至っていますね。」
Q、ダンサーやアーティストの育成で心掛けていることはありますか?
「やはり地元の子供たちやアイドルにダンスを教えている場合は、育成という意味を持っているので、普通にブレイクダンスの技術だけを教えるのは難しい。その中で自分が大事にしているのはダンスの中身ではなくて、礼儀や挨拶。コミュニケーションの取り方など、人間性ですごく幅が広がることも多いので、育成を1番大切にしています。技術的な基礎などはもちろん細かく指導していくのですが、まず挨拶と、ブレイクダンサーとしての心意気を教え込んでいます。」
Q、ブレイクダンサーの心意気というのは具体的にどういったことですか?
「個人の人間性も指してはいるのですが、魅力的なB-BOYになるために、挨拶代わりの最初の動き、心意気を伝えます。自分自身がIVANから影響を受けたところもあるので、心の中では衝撃を受けるダンススタイルを目指すための理由も同時に教え込んでいます。」

Q、具体的にダンスの面ではどういうレッスンをされていますか?
「ブレイクダンスにはトップロック、フットワーク、パワームーブという3つの重要な要素と、フリーズという止まる動きがあります。ブレイクダンスをやってない方が見たらパワームーブに衝撃を受ける方が多いと思います。子供たちを教えることが多いので、まずパワームーブを重点的に教えて体作りをしています。身長が伸びて成長していくと足回しや回転が難しくなっていくので、小さい頃からパワフルなものをゲットして自分の体に植え付けた状態で、それ以外のフリーズ、トップロック、フットワークなどを教えていく形になります。今のブレイクダンスシーンでは、トップロック、フットワーク、パワームーブが重要になってくる時代でもあるので、パワームーブからフロアー、トップロックという流れで、自分の体にあったダンススキルを磨くような育成方法を取り入れています。」
Q、作品作りをするときに大切にしていることを教えてください。
「バトル、ショーケース、コンテストなど、一般の方から他のジャンルの皆様、B-BOYの方に見て頂く機会が多いので、イベントや楽曲に合わせつつ、お客様が興奮するようなショーケースを心がけています。大体10秒から15秒の間に驚くようなものを1個か2個入れてサプライズ感を増す意識。短い1分間のショーケースで魅せるという依頼も多いので、見ている方々が興奮できるような、楽しめるような作品を常に意識して作っています。10秒感覚で大技を入れて、その人の生き様がみえるような演出をしっかり入れ込みながら飽きさせないショーケース。雰囲気作りというよりは、技で雰囲気を作っていく方向性が強いと思います。」

Q、今までに行ったショーの中で特に記憶に残っているものはありますか?
「これは周りのメンバーや親しい仲間には常に伝えているのですが、2015年の九州男児新鮮組で制作させて頂いた、アメリカ・ロサンゼルスでのWORLD OF DANCEですね。これが自分の中では1番作品への印象が強い。元々アメリカに憧れがあってダンスを始めて、本場の皆さんが自分の作品や1から育てた生徒のダンスを見て興奮してくださったことがすごく印象に残っています。『こんなパフォーマンスは見たことない』という表情をされた瞬間、自分でもすごく鳥肌が立ってダンスをやっていて本当に良かったと思えた衝撃のシーンでした。それを越える感覚はまだありません。」
Q、様々なコンテストで結果を残し続けている理由は何だと思いますか?
「自分の信念を曲げない作品を作ることです。ショーケースを見ていただくと分かるように、結構変わり映えがないショーケースが多いです。10年以上変わってないと言われるのですが、自分の作れる能力は限られていて得意不得意があるので。曲や様々な形で作ってはいますが、その中でも自分の作品の中心軸はぶらさずに作ってはいます。その軸は、お客様を楽しませるということ。自己満足の作品は作りません。自分が気持ちよくなったりする作品形態は好きですが、そういう作品制作には向いていないので、必ず自分の軸はぶらさずに指導し、作品を作っています。たまに『作品が毎回同じように見える』『衣装もほぼ変えてない』と言われることもあるのですが、自分の中では軸がぶれていない、といい意味で捉えていますね。今もなお、更に進化させていると思います。」

Q、海外の挑戦をするきっかけはありますか?
「九州男児などのチーム活動はオファーが多いです。それに対して、FOUND NATIONやバトルに関しては自分たちでチャレンジすることが多いので、ここは2つに分かれています。バトルに関しては、日本国内で踊ることも重要ですが、見たことない世界を見るという意味で、海外のバトルにチャレンジすることは生きている価値だと思っています。だからこそ年に1回は海外のバトルにチームで参加することを大事にしています。」

Q、バトルシーンにおける海外でのチャレンジのために行なっていることはありますか?
「チームは歳も取っていくので環境が変わっていきます。バトルに挑戦するFOUND NATIONは、若手を入れ込むことで新しい勢いと新鮮なマインドが入ってくる。そういったところで海外に挑戦するために必要なメンバーを育成し、アプローチしていきます。内容は、海外のB-BOYシーンをしっかり理解した上で、海外で目立つような動きやルーティン、個人スキルをしっかり準備して海外にチャレンジしていくこと。B-BOYとしては常に考えるところです。」

Q、九州男児などでショーをしに海外に行くときに心がけていることはありますか?
「最近はFabulous SistersのRuuさんと共にFusion Japanというチームで、ドバイの公演に行ったり、アメリカ・ゴット・タレントに出たりしています。海外の方は日本の和的なところを全面に押し出すと分かりやすく受け入れてくださることが多いので、九州男児では吉田兄弟の三味線の音源で踊ることが多いです。自分のオリジナルスタイルは『和×ブレイク』。世界中の方が『日本といえばそうだよね』というところを分かりやすく表現しつつ、分かりやすいアクロバティックなルーティンと回転系のパワームーブを合わせることでエンターテイメントに直撃できるアプローチを生み出すことができる。そこが一番重要だと思っています。」
Q、今シーズンからDリーグのKOSÉ 8ROCKSディレクター兼選手として活動することになったきっかけを教えてください。
「KOSÉ 8ROCKSは、実はシーズン1から裏方として携わっていて、ISSEIがディレクターとして不安ということだったので、裏のディレクター的な形で作品作りや選手の育成、コミュニケーションをサポートしていました。今、シーズン5から初めて正式なディレクターになりましたが、ブレイクダンスのみを軸で踊るBBOY達が、周りのサポート無しではDリーガーとして活躍するのは、難しい状態です。基本我々はダンスバトルが主軸なので、2週間で1回作品を作るスパンを自分の練習、ダンスバトル、Dリーグとバランスを取りながらやるB-BOYはほとんどいません。自分がディレクターになった一番の本質は、勝てずに苦しんでいるメンバーのサポートをするため。前面に出てみんなのフォローをKOSÉさんとタッグを組んでやっていくことを最初のスタートとしています。」
Q、今シーズンからDリーグのディレクター兼選手として活動している手応えや感想を教えてください。
「今シーズンはジャッジのシステムが激的に変わったので、かなり苦戦していて、結果は五分五分の状態ですが、チームの雰囲気は過去で1番いいです。スケジュール上、出場出来なかったバトルやDリーグでできなかったことを自分が入ることでサポートし、スケジューリングやKOSÉさんへの話し方などをしっかりディレクターとしてやっているつもりです。Dリーグでの優勝を目指していますが、ダンサーが夢を見る世界だと思うので、みんなが生きていくため存在価値を大事にしています。1回1回の勝利で一喜一憂するより、1回1回のパフォーマンスをしっかり歴史に残すっていうところを主に自分たちはやっています。勝率と関係なくチームの空気、チームワークは史上最高にいいと思います。」
Q、最後にブレイキンの魅力を教えてください。
「僕がB-BOYとして思うのは、やっぱりかっこいい。すごく単純で分かりやすく、マジで1番かっこいいジャンル。かっこよくないとやっている意味も、自分が表現する意味も全くないと思うので。自分は特にアクロバットスタイルをやらしていただいて、オリジナルのアクロバットを自分で考えて、見る人たちを驚かすブレイクダンスをしています。自分が知っているものとは違うスタイルがたくさんあるっていうところを幅広く伝えていきたいと思って、しっかりと個性を軸に今まで踊ってきています。かっこいいこのジャンルをみんなもやってみないかいっていうことです。」
自分がダンスで見たい景色、獲りたいタイトル、やりたかったことはほとんど既にもうやり切ってしまったと語るSHUVAN。これからはその自分が見てきた広い世界を仲間や若い世代と共に見ていくことを志しつつ、自分の知らないダンスの世界を積極的に知って、ダンスの幅を広げていきたいという。そんな彼の見る未来にもぜひ注目していきたい。
Talk about stylng
「Dickiesのセットアップっていうのが、B-BOYとして昔から取り入れられているファッション。Dickiesは作業服のイメージが多いのでロサンゼルスなどではお金のない人たちが、練習でも着られる普段から買えるようなものとして使われていました。昔ゲストで来ていた海外のB-BOYもDickiesのパンツを履いていることが多いイメージですね。さらにセットアップっていうオールドスクールな形でいるとクールかついいシルエットで最高です。中のTシャツが迷彩柄なのもバトルスタンスの僕らにぴったりでした。このままバトルに行ってもいいようなマインドになりますね。」
着用衣装
ディッキーズ x アトモス ユーティリティ ワーク ジャケット
ma24h-jk032-blk
¥24,300(税込)
https://www.atmos-tokyo.com/item/dickies/ma24h-jk032-blk
アトモス エンブロイダリー クラシックロゴ Tシャツ
ma24s-ts001-bkc
¥6,050(税込)
https://www.atmos-tokyo.com/item/atmosapparel/ma24s-ts001-bkc
ディッキーズ x アトモス ワーク イージー パンツ
ma24h-lp032-blk
¥16,500(税込)
https://www.atmos-tokyo.com/item/dickies/ma24h-lp032-blk

Talk about sneakers
「新品を履いて踊ることはなかなかないですが、ジョーダンからエアフォースまで色々なバスケ選手やアーティストなどのストリートカルチャーには常に近いイメージがあるNIKEの靴がはけて嬉しかったです。中でもNIKE JAM、ブレイクダンスで逆立ちの状態になることが多々ありますが、NIKEのロゴが反転でも見られる遊び心も強いところに惹かれています。今回のAIR MAX PLUSの色合いとグラデーションは結構ファッションでも使えるし、すぐにそのまま踊ることができるので気に入っています。」

着用スニーカー
ナイキ エア マックス プラス OG
dx0755-001
¥23,100(税込)
https://www.atmos-tokyo.com/item/nike/dx0755-001

SHUVAN Profile
14歳の時に初めて見たブレイキンチーム「BRONX」に衝撃を受けキャリアをスタート。
「インペリアルJB’s」のKidより指導を受け、同時に「九州・久留米から世界へ」を目標とした次世代CREW「九州男児」を結成する。
その後、アメリカ出身のレジェンドダンサーB-BOY IVANの映像から2度目の衝撃を受け、IVANスタイルへの憧れを込めて「SHUVAN」に改名。
当時日本では珍しかったアクロバットスタイルで結果を残して行く。
その経験をチーム「九州男児」の次世代メンバーに伝え、チーム「九州男児新鮮組」が誕生。
リーダーのISSEIを中心に様々なB-BOY達を指導し地元久留米から世界のステージまで押し上げる。
上京後「FOUND NATION」に加入。
リーダーのDRAGONと出会いダンスに対しての可能性やマインドに影響を受け世界のステージを目指す。
現在はB-BOY SHUVANとして現役パフォーマーとしての活躍と並行し、スタジオ運営、九州男児次世代B-BOYの育成、アイドルへのダンス指導、様々なエンターテイメントのステージでのプロデュース、ディレクションなど活躍は多岐に渡る。
STAFF CREDIT
Model:SHUVAN
https://www.instagram.com/shuvan_official
Photo & Movie:REALY
https://www.instagram.com/realy_photo_/
Edit & text:megu
https://instagram.com/megu3_hanabi
Production:bashment
https://www.instagram.com/bashment_inc/