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DANCERS FILE

【DANCERS FILE Vol.63】Riko Koyama

2024.12.27

日米で数々の経験を踏んだアメリカ仕込みのフィメールダンサー、Riko Koyama

国内外で多くの経験をしてきたRiko Koyama。神戸出身で19歳の時にはニューヨークに2年間留学。その後、東京に拠点を移し、En Dance Studioなどでのレッスンをスタート。現在はレッスンや振付、アーティストの育成、ライブの制作など幅広く活動。MISAMOが安室奈美恵のカバー「NEW LOOK」をカバーし、一世を風靡しているが、その振付も彼女が手がけている。様々現場に引く手数多の彼女に今までの海外での経験談や振付におけるポイントを聞いた。さらにダンスムービーも撮影。そちらもぜひチェックしていただきたい。

「当時、ダンサーになりたいというざっくりした気持ちはあったのですが、神戸に住んでいたので、あまり現実的なイメージは湧いてなくて。高校生の時に大学に行かずにダンスの道に進む選択をしようと思いましたが、中高大一貫の学校に通っていたこともあり、学校の先生と親に全力で止められました。その中で母からの「大学在学中に留学にも行ったらいいじゃない」っていう言葉もあり、自分でもなんとなく留学に行くのもありかなっていう、ふんわりしたイメージを持って半分嫌々で大学に進学しました。2年目になる時に、幼馴染が、カナダに語学留学すると突然言い出して。私も留学したいんだったって、思い出したような感じで、急いでニューヨークに行くことを決めました。」

「最初は英語もままならなくて、午前中は語学学校に行って、午後はダンススクールに通う生活でした。ダンスレッスンでも何も評価してもらえない、ピックアップもされないっていう状況でスタートでしたね。それもあって余計に自分の気持ちにどんどん火がついて。生活に慣れてからは1日5本とか、とにかく沢山レッスンを受けました。語学学校終わったら、そのままダンススタジオに行き、夜9時までひたすら、最低3本はレッスンを受けている生活を毎日。体作りのクラスから、 Ballet、Hip Hop、House、Contemporaryなど、とりあえず好き嫌いもせず、その時はなんでもやれるものはやってみようっていう気持ちでしたね。他のことをやっている暇はないと自分に言い聞かせていました。」

「ありましたね。当初は大学を休学して1年間だけの約束でアメリカに来ていました。その後、徐々にダンスで仕事ができる兆しが見えたので、大学を辞めてもう1年アメリカで過ごしていました。だから2年目は、学生という身分ではなくなって、自分のダンスを仕事にしなくてはいけないっていうプレッシャーがありました。それによってダンスが楽しく踊れなくなって、体調にも出てきてしまって。そこで初めて、せっかくニューヨークにいるから、ダンス以外のこともやるべきだなって自分の気持ちが変わって、向こうで出会った友達とたくさん出かけたり、プライベートの時間も割と増やしたりしながらレッスンを受けていきました。そのあたりから仕事をもらい始めたので、イベントに出たりとか、現地のダンサーの人に混じってリハーサルを結構したりっていうことも増えてきていました。」

「実は1年目の最後に、エージェントのオーディションに合格したんです。アメリカのダンス業界は大きいエージェントが3つくらいあって、周りで仕事しているダンサーたちはそのうちのどれかに所属して仕事をしていました。その時は学生ビザだったので、すぐに契約をすることはできず。もし、私がビザを取ってきたらあなたと契約してあげるよっていう状態にはなれたので、それが自分の中では大きかったです。親もそこでちょっと納得してくれて、大学を辞めて2年目の留学をすることもできました。」

「アーティストさんのミュージックビデオやコマーシャルなどに出演していました。向こうは結構ダンサーの仕事が多いです。今は日本でも色々な媒体にダンサーが使われていますが、当時からアメリカではそういう環境でしたね。ファッションブランドの新作発表の場にダンサーモデルっていう形で出演することもありました。adidasとかGAPとか、そういう大手のブランドがダンサーを使うっていうところに、私も呼んでいただいていました。」

「仕事をもらえるようになるまでの過程がかなり違うなと思っています。日本だとなかなか見ず知らずの人に仕事を振ることはあまりないような気はしていて。誰かの知り合いや人伝に話が来ることが多いと思います。または、内々にオーディションがあって初めて仕事に就く、1人の先生にすごく長いことをついていった結果、その人から仕事をもらえるとかっていう。とにかく時間がかかるなって思っていて。アメリカだと、全然見ず知らずの、どこの国から来たのかなっていう人たちが、次の日にはその先生のショーケースに参加するとか、仕事をもらえるという状況なんですよ。年功序列とか順番待ちっていう感覚が全然なくて。逆に自分も順番を抜かされる。ぱっと来た人にその自分のポジションを持っていかれることもあるし。本当に実力が全て。日本以上に実力社会だなっていうのはすごく実感します。」

「En Dance Studioで教え始めたっていうことは大きいです。ニューヨークではすごく自分がパワーアップしているという感覚が日々ありました。でも日本に来た途端、先ほど言ったように順番待ちをしているというか。自分は前に進みたいけど、ずっと足踏みしている感覚はあって、誰かの元についていったら仕事がもらえるのかっていう風に色々悩んでいた時もありました。Enで教えられるようになったきっかけも、ニューヨークで出会った友達の紹介だったのですが、教え始めたことによって、自分を知ってもらえるスピードがすごく広がったなっていうのは体感していて。自分がレッスンするところに、今まで出会えなかった生徒の子たちが来てくれて、その子たちも発信してくれる。Enも発信してくれるっていうので、今までと自分がやっていたことは変わらなかったけど、世に知ってもらえる大きなきっかけにはなったかなと思います。」

「本当にたくさんありますが、他の人に比べて自分の振付は歌詞に忠実だなと思っています。 言葉一つ一つに対して動きをつけていくっていう振付の仕方に今はなっているので、その言葉を踊りで表現するときにどうしたらいいだろうっていう風に考えて作っています。あとは今、TikTokで踊りやすいものを求められることも多いですよね。でも、最初に私が振付の仕事をもらい始めた時は、TikTokが今ほど一般的ではなく、別にTikTokで流行るための振付を作っていたわけではなかったんです。でも、その時から自分が作ったものを評価してもらえて、今もお仕事が頂けているので、今でもTikTokを意識して振付作ることはあまりしてなくて。TikTokで踊るとなると、1人を見た時とか、縦の画面で踊りやすいとかって、色々なポイントが重なって流行ることがあると思うんですけど、そこにあんまりとらわれないようにしています。全体として見た時、構成も含めて見た時、それが1人ひとりになった時、見え方は様々だと思いますが、全体で見た時に1番良さが伝わるものを大切にするっていう軸は自分の中で意識して作っているかな。」

「私はとにかく時間がかかるタイプで、お仕事いただいたら、1週間ぐらいは毎日1人でスタジオに入って振付を作ります。そこからいつもお手伝いしてもらっているダミーやアシスタントの子たちと一緒に制作に入るのですが、今はずっともうその子たちに0から一緒に動いてもらいながら構成は作っていきますね。頭の中で考えていくよりも、動いてもらって、そのタイミングで自分が浮かんでくるものとか、みんなが踊っているのを見てみないとわからないことがすごく多いので、無理に構成を作っていかず、その場で、試しながら創作します。ただ、自分の中では構成作る時になんとなくこれでいいかなっていう進め方はしないです。もちろんダンス、振付って不正解はないですけど、いくつかの正解はあると思っていて。その正解が出るまでは必ずやり続けます。ダミーの子たちに踊ってもらいながら正解を1個ずつ繋げていくっていう作業をするので、本当に他の振付師の方達よりも圧倒的に時間かかっているとは思いますが、みんなのおかげで作れています。」

「21歳で日本に帰ってきた時は、なかなか思うようには仕事できていなくて、ダンスのお仕事ならなんでもやりたいという気持ちでした。でもバックダンサーのお仕事とかって、やっぱり待ちの体制。オープンなオーディションも日本だと少ないし、どうにか誰かから声をかけてもらうのをひたすら待つっていう。ただ振付は、自分がクラスでやった振りに構成をつけて発信して、自分が振付したらこういう風になりますよっていうサブミッションっていう形で発信することはできる。だからとにかく、その時に流行っていたNiziUとか、自分が振付をやりたいアーティストの曲で振付を作って、インスタに載せ始めたのがきっかけで、振付のお仕事に繋がりました。」

「私は自分を天才肌だとか、アーティストタイプからは程遠いと思っていて。そういう方々に敵わない部分が必ずあって、その部分を努力だったり時間だったり、丁寧さで埋めるっていうのが自分のできるやり方だなって思っています。昔はどうしてそんな時間かかるのだろうとか、ぱっと作れるタイプの人間になりたいとかって思ったこともありましたね。今は逆にそこが自分の強みだと思って、丁寧に仕事をすることを意識して、時間をかけて常にやっています。」

「今年の夏、NewJeansのライブで行った、ゲストRina Sawayamaさんとのパフォーマンスですかね。振付師としてお仕事をいただいたのですが、加えてバックダンサーとして自分もステージに立つということで、自分が作ったものを、自分がステージに立って、お客様の反応を生で感じられるっていう、いつも以上にやりがいを感じられる体験をしました。」

「今年は、自分の中でやってみたかったことに全てチャレンジできました。K-POPの振付やライブ制作にも携われたのが嬉しかったです。ライブ制作は自分の中ではずっと目標にしていたことで、一流の人たちの中に混ざって勉強させてもらう機会もすごくいい経験になったと思います。その分すごく悩んだし、苦しんだ時間が長かったっていう気持ちはありますが、今まで経験や勉強してきたことを活かして携われた感覚もありました。今までの経験のおかげで乗り越えられたことの連続で、タイミングよくいろんな機会に恵まれていた感覚ですね。」

「自分の中でダンサーであるということに、気持ち的にも時間的にも縛られすぎないようにしたい。ダンサーはすごく自由な仕事でありながら、自分を削って作る仕事。制作は特に自分を削って作るので、仕事ばかりにならないように、海外旅行などプライベートな時間も使って、外からインプットをしていきたい。アウトプットが求められる、人前で自分を見せることを求められる仕事だからこそ、インプットするっていうことをすごく大事にしているので、来年も自分の時間をしっかり作れるように。でも、自分を必要としてもらえた時には、そのインプットしてきたものやパワーを全てしっかり返せるように、頂いたお仕事に対しては全力で。ただ、それにあんまり貪欲になりすぎないっていう自分の中でのバランスを取りつつやっていきたいと思っています。」

Talk about stylng
「普段はシンプルな、さらっとした服装多いので、いつもとは雰囲気が違うものを着せていただいて嬉しかったです。この服をどうやってよく見せられるかを考えてムービーでも踊っているのでぜひチェックしていただきたいです。」

着用衣装
アトモス ピンク セサミストリート ボーダー ニット トップス
24fw-ssnt14-red
¥9,900(税込)
https://www.atmos-pink.com/item/fone/24fw-ssnt14-red

アトモス ピンク ダブルニー デニム
24fw-tapt11-blu
¥14,300(税込)
https://www.atmos-pink.com/item/fone/24fw-tapt11-blu

アトモス ピンク ダブル ピン ベルト
24fw-apeq03-blk
¥4,400(税込)
https://www.atmos-pink.com/item/fone/24fw-apeq03-blk

Talk about sneakers
「私普段、踊る時も私服のときもNIKEなのでとても嬉しかったです。踊る時は特にソールの厚みのバランスをかなり重要視していて、そこが今回すごく相性が自分と良くてこれからも履いていきたいです。」

着用スニーカー
ナイキ ウィメンズ JAM
fn0314-001
¥16,830(税込)
https://www.atmos-pink.com/item/nike/fn0314-001

Riko Koyama Profile
19歳で単身渡米。NYにて2年間様々なジャンルを学び、現地のダンサーに混じりMVやイベント等に多く出演。現在は東京を拠点に様々なアーティストの振付をメインに活動中。

STAFF CREDIT

Model:Riko Koyama
https://www.instagram.com/riko0429

Movie:Ryo Takeuchi
https://www.instagram.com/takecopter01

Movie direction:REALY
https://www.instagram.com/realy_photo_

Photo:MOHIKAZUKI
https://www.instagram.com/kazuki_85

Edit & text:megu
https://instagram.com/megu3_hanabi

Production:bashment
https://www.instagram.com/bashment_inc