サラリーマンからプロダンサー・アーティストへと舞い戻ったスーパーダンサー、地獄
一度その名を聞いたら忘れられないダンサー、地獄。幼少期から国内だけにとどまらず、海外のバトルでも好成績を残し、大注目のキッズダンスバトラーとなる。その後ダンスとは距離を置き、大学卒業後はサラリーマンとして会社で働くも、Dリーグ発足をきっかけにまたダンス界に舞い戻ってくる。そして現在はDリーグのCyberAgent Legitのメンバーとしての活動と、本名の田中彰という名前で、LDHよりデビューしたパフォーマンスグループTHE JET BOY BANGERZで活動中。多くの経験をしたからこそわかる考え方や現在の活動状況などをインタビュー!さらに、1発撮りで撮影したダンスムービーもぜひチェックしていただきたい。
Q、地獄というダンサーネームの由来を教えてください。
「僕の本名が彰(ショウ)っていうありふれた名前なんですよ。10歳で初めてダンスバトルにチャレンジする時に、エントリーをしようと思ったら、他のダンサーと名前が被ってしまったんです。その時の師匠であり、大阪のダンススタジオMYSTERのオーナーの西さんに相談したら、お前は地獄で行こうかって言われたのがスタートです。その時はよくわかっていなかったですけど、改めて聞くと、地獄はスラング的に“やばい、地獄やな”みたいな感じで 当時使っていたそうで。僕にやばいダンサーになって欲しいという想いを込めて名前をつけてくださいました。そこからもうかれこれ地獄歴は18年ほどになります(笑)。一度聞いたらなかなか忘れられないダンサーネームをつけていただいて、感謝していますね。高校生の時はちょっと恥ずかしくて、実はSHOWに変えていた時期もありました。でも今は改めて、地獄はいい名前だなと思って戻しています。」
Q、10代の頃から、国内外問わず多くのバトルで結果を残していますが、当時はどういった心境でしたか?
「やっぱり世界で活躍するダンサーになりたいっていう想いを持っていました。自分の1番表現できるのがバトルだったので、バトルの瞬間は”どうだ!かっこいいだろ、俺。これが俺だ。”という感じで、踊っていました。でも自分は元々の性格が心配性で不安を持ってるタイプだったので、本番前にすごい緊張するんです。踊り始めたらもう腹くくって行くしかねえって感じで自信持ってやってたんですけどね。その当時は朝10時から夜10時まで、MYSTERの強化レッスンをやってたので、練習量の自信はありました。これだけ練習してきたぞっていうのは肝にあったので、踊る時は自信持っていけたんじゃないかな。」
Q、海外のバトルに挑戦したきっかけは?
「強化レッスンをやってくださった西さんが昔からダンスを海外に勉強しに行ったり、海外のダンサーを呼んで強化レッスンでWSを開催してくださっていました。日頃から海外の人をメインに当時では貴重なビデオを見せてもらい練習していました。その中で何人かで『海外遠征行くか!』みたいな感じでニューヨークとロサンゼルスに1週間ずつで行ったのが初めての海外のチャレンジで2009年中学生くらいだったかな?」

Q、海外でも戦い、結果を残していく上で1番努力していたことはなんですか?
「当たり前だとは思いますが、積み重ねの練習は本当に大切。色々なことを想定しながらバトル形式でメンバーと練習することも多々ありました。あとは諦めない気持ち。やはりバトルで負けることもめちゃくちゃあって。その時に師匠も含めて、なぜ負けたのか、その時の相手のムーブやジャッジとかについても含めて研究していました。そういうなぜっていう部分をみんなで話し合って、ここが良かったから勝てた、でもここはダメだったから負けたみたいな話をよくしていました。思い返すことも大切だし、自分の中だけで完結することは難しいので、自分の好きなダンサーや相手の良かったところ、周りのダンサーのいい部分をいい意味で盗む。真似て学んで、それを自分だったらどうするかっていうので、どんどん新しい自分を作って成長していったのかもしれないですね。」
Q、キッズ時代はどんな練習をしていましたか?
「スタジオに着いたらすぐカバンを置いて、スタジオから駅までを往復何回かランニング。その後ストレッチして、基礎練習のターンを30分くらいやります。その後に、西さんからステップを1個教えてもらって、2時間ぐらい練習。休憩があって、お昼ご飯食べたら、また練習。さっきのステップの練習をそのまま何時間もしたり、バトルの練習をしたりします。夕方になったらランニング。その途中、公園でみんなで鬼ごっこや運動形式の遊びやボール鬼などをする時間もありましたね。その後夕食を食べたら、バトルの練習を夜までやるみたいな感じでした。小中学生とかばかりでしたが、みんなすごく頑張ってやっていましたね。」
Q、大学卒業後、上京してサラリーマンとして働いていたとのことですが、ダンサーではなく、就職の道を選んだ理由を教えてください。
「社会人っていうのにも興味はあったんです。あとはやはりキッズの時の挫折があったのは大きい。キッズの時の最大の目標はDANCE@LIVE KIDSでの優勝でした。でも、挑戦できる最後の年の決勝で負けてしまって。それを機に一度、一線で戦うダンスから離れて高校のダンス部や大学のサークルで踊るようになりました。だからキッズの頃からの空白の自分の数年間がずっとコンプレックスで。地獄はあの頃からこんなにうまくなっているだろうって思われているって被害妄想をしてしまっていました。その不安もありつつ、ダンスで行く自信もなくて、元々興味があったビジネスの道に新卒っていう切符を使っていきました。日本は結構新卒を重要視するとこもあったし、親にも安心してもらいたいしみたいな感じでしたね。」
Q、そこからダンスを仕事にしようと思ったきっかけは?
「就職先でたまたま東京に配属になって、上京してサラリーマンとして働くことになったんです。その頃から土日にダンサーとして、バトルに出たり、練習会をみんなでやったり、イベントに行ったりしていました。昔の自分を知ってくれている人も東京にいたのですごく仲良くしてくださりました。今のCyberAgent Legitのリーダー、TAKUMIにもその時に会いましたね。 その頃TAKUMIはディーン・フジオカさんのバックダンサーをやっていて、そういうメディアの仕事をしていることは周りのダンサーには珍しがられていました。でも僕はTAKUMIがチャレンジしていて、すごくいいことだねと話していました。するとコロナ禍になり、改めて自分は将来何になりたいか考えていました。その頃、Dリーグが発足するというのでTAKUMIが僕をメンバーに誘ってくれて、サラリーマンをしているけど、やっぱりダンスを仕事にしたいって思ったんですよね。将来サラリーマンをやっていてもなりたい自分じゃないなって思って。コロナ真っ只中だったタイミングでもあり、不安もありましたがチャレンジを決意して、退職。その後Dリーガーになったっていうのがきっかけです。」
Q、ダンスバトルからエンターテイメントのダンスを経験して考え方は変わりましたか?
「そうですね。昔の自分はバトルで、個人で“俺のダンスかっこいいだろう”っていう感じの自分本位の踊りだけをしていました。でも大学時代に4年間USJでダンサーをやって、どうやって周りの人をより巻き込んで魅了するかを考えて研究して、自分の視野も広がり感性もすごく変わりましたね。DリーグもUSJと一緒で、ダンサーだけではなく一般のダンスをやったことがない、興味本位で見ている人もいたので、そこでどういうダンスが合うのか、どういうので驚くのかっていうのは、USJの時の感覚がすごく役に立ちました。Dリーグ1年目のRound3の時にアクティングを混ぜた、仕事がうまくいかないサラリーマンが最終的には諦めてたダンサーの夢を再び追い始める作品があり、過去の自分の等身大のような作品をやらせていただいたことがありました。その時はUSJの“言葉がいらない、ノンバーバルなアクティング”を混ぜて当時の経験がその作品やその後のファニーな作品で、すごく活かすことができたと感じました。」
Q、サラリーマンを経てダンサーになって、今思うことはありますか?
「学生時代に比べ、ダンサーを仕事にしてからはサイバーエージェントの方や仕事相手の方とお話しする機会が多いので、サラリーマンをやった経験はすごく活かせているなって思っています。人に対しての接し方や仕事での丁寧なやりとりなど、学生時代の伝え方と社会人の伝え方って大きく違うっていうのはサラリーマン時代で感じていて。相談や意見を話す時はこう伝えた方がいいと思うし、相手の意見も汲みながら話した方がいいよ、というようなことをメンバーのみんなに伝えられたのは、すごく自分の成長にも繋がりました。これまでコンプレックスだと思っていたダンサーから離れた自分、サラリーマンをやった経験が、すごく今に役立っていると思って、改めて自分の生きてきた人生は間違ってなかったと感じました。」
Q、Dリーガーとして活躍している現在、どういった日々を過ごしているのか、よくある1日の流れを教えてください。
「朝10時から夕方まで大体6時間くらいCyberAgent Legitの練習があります。最初はストレッチとかウォーミングアップをやって、今の時期はスキルシェアっていう作品作りもやっています。自分たちのチームはジャンルが違う人が多いので、それぞれのジャンルのスペシャリストがお互いにレッスンしていくみたいな感じ。チームの底上げをしています。作品作りで言うと、ディレクションの人が1人、メンバーからとかFISHさん(CyberAgent LegitディレクターFISHBOY)がやります。その人の作品を振り落としてもらったり、自分が振り付けする担当のパートがあって、その振付を自分がメンバーに落としたり、全体的な構成をみんなで色々言いながら作品を作っていくみたいなイメージです。練習が終わるとその後にLDHの仕事に行くって感じですね。」

Q、THE JET BOY BANGERZについて、どんなチームなのか、魅力を教えてください。
「THE JET BOY BANGERZはiCONZというLDH最大規模のオーディションで結成されたグループです。10人で構成されていて、3人がボーカリスト、7人がパフォーマーとラップをやるというグループです。パフォーマー7人全員がDリーガーです。LDHの中でも1番のパフォーマンスを誇れるように常日頃精進しています。EXILE TRIBEさんを継承し、そのマインドを持ちつつ、見ているファンの皆さんに今の自分たちのスタイル、熱さやパッションなどを伝えていきたい。会場をどんどんそういった力で巻き込んで、いろんな人に勇気やパワーを与えたい。グループの魅力は、楽曲の振付けや構成など自分たちで作っているクリエイティブ力。そしてライブでのパフォーマンス力です。やはり自分たちはそこが1番得意なので、そこは誰にも負けない気持ちでやっています。」

Q、踊っている上で1番大事にしていることは何ですか?
「細かく言ったらいっぱいありますが、やっぱり僕は見ている人を魅了することを1番大切にしています。ただこう、1個の小さい動きだとしても、なんか見ている人が引き込まれるというか。例えばかっこいい感じだったらかっこいいと思われるとか、悲しい表現をしたら悲しくなってしまうとか、引き込むっていう力が何よりも大切だなって思うので、そこに付随して表情や立ち振る舞いを意識しています。」
Q、今後の展望を教えてください!
「チームCyberAgent Legitとしては、今シーズン5年目になりますが、今シーズンもメンバーが増えて、チームとしてもすごい変化がある年になりそうです。より変化を進化に変えて、チャンピオンシップ2年連続準優勝で負けているので、今年こそ完全優勝して、ファンの皆さんに喜んでもらいたいです。THE JET BOY BANGERZでは、ドームに立つことを1個の目標としているので、色々なことにもっともっと臆さずにチャレンジして、チームとしてもスキルアップしたい。やっぱりこのチーム何かが違うとか、かっこいいと思ってもらえるようなチームになっていきたいです。個人としては、その両方の活動も全力でしつつ、ダンスでもより活躍したいですし、芝居とか、声を使ったお仕事とか、まだまだ28歳で、業界としてはまだ若手だと思うので、何事もチャレンジしたいです。チャレンジしてきて楽しかった人生なので、頑張ってもっともっと少しでも興味あることにトライしてやってみたいなっていうのはすごくあります。」
CyberAgent Legit、THE JET BOY BANGERでの活動などアーティストとしての様々な顔を持つ地獄。過去の挫折から多くの挑戦を経て、全て経験を糧にして、今の彼がいることがわかるインタビューとなった。今後はどんなダンサー・アーティストへと進化していくのか。今後の地獄の活躍も見逃せない!

Talk about stylng
「自分が普段持っていないような服もセレクトしていただいて、その中から今日の気分で挑戦的に僕も選ばせてもらいました。シルバーの靴に白が合わさって、いつもの自分とは違ったロンTを選んで、いいスタイリングになったなと思います。」
着用衣装
アトモス レトロ ボーダー ロング Tシャツ
ma24f-ls025-grn
税込 ¥8,250
https://www.atmos-tokyo.com/item/atmosapparel/ma24f-ls025-grn
アトモス ダブル ニー ワーク パンツ
ma24f-lp009-wht
税込 ¥17,600
https://www.atmos-tokyo.com/item/atmos/ma24f-lp009-wht

Talk about sneakers
「なんと言っても履いた瞬間に軽いと思って、驚きました。今日は短時間のパフォーマンスでしたが、ライブとか練習とか長時間履いていても疲れにくいのではないかなという感覚があります。グリップも効くのですごくいいですね。」


着用スニーカー
ナイキ ウィメンズ エア ズーム ペガサス 2005
hj7310-025
税込 ¥20,130
https://www.atmos-tokyo.com/item/nike/hj7310-025

地獄 Profile
1996年7月25日生 大阪府出身(生まれは高知県)
4歳の頃、街中でかかっている音楽を聴いて姉と急に踊り出した姿を見た両親の勧めでダンスを始める。
10歳の頃、ダンススタジオの恩師に「地獄」というダンサーネームをもらいダンスバトルに挑戦しはじめる。そこからDANCE@LIVEをはじめ、数あるバトルやコンテストで優勝、海外のバトルやコンテストでも2連覇するなど海外遠征を経験。大学時代にはUSJにてテーマパークダンサーとしても働く。大学卒業後は就職をし、それをきっかけに上京。サラリーマンとして一度は働くがD.LEAGUE発足を機にダンスへの熱い気持ちが高まり、再びダンスの道に進んだ。その後CyberAgent Legitに所属し、Most Valuable Dancerに選出、チームで2年連続SEASON優勝を果たす。そして今年イギリスの人気オーディション番組Britain's Got Talentにもチャレンジし、審査員サイモンからゴールデンブザーを獲得した。一方でLDH史上最大のオーディション「iCONZ第2章」から結成された、THE JET BOY BANGERZ from EXILE TRIBEのリーダーとしても活動し、プロダンサーとアーティストの二足の草鞋を履いて活動中。
STAFF CREDIT
Model:地獄
https://www.instagram.com/lilshowww
Photo & Movie:REALY
https://www.instagram.com/realy_photo_/
Edit & text:megu
https://instagram.com/megu3_hanabi
Production:bashment
https://www.instagram.com/bashment_inc/