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DANCERS FILE

【DANCERS FILE Vol.44】ACHI

2023.12.15

メディアやクラブシーン問わず多くのステージで自分のスタイルを貫き発信するHIPHOPER、ACHI

2005年から東京でROCKWILDERというチームで活動の他SHOW GUNという日本語ラップをメインに踊るチームにも所属。都内を中心に活動を続け、多くのダンサーの支持を受けるACHI。現在もソロやユニットをはじめ、ショータイムに多く出演。またアーティストのバックダンサーを上京した若手の頃から続け、近年は振付・演出など裏方の仕事も手がける。そんな多くのフィールドで活躍するACHIはどのようにダンサーとして力をつけていったのか。今ダンサーを目指す若手へのアドバイスなど貴重な話の数々を聞いた。さらにACHIも初めてとなる当日選んだ曲で短時間で振り付けを考え、1発撮りでダンスを撮影する企画にも参加してもらった。緊張感もある中、新たな刺激と感覚を楽しむ彼のダンスをぜひチェックして欲しい。

「大学のダンスサークルに入ったことが始めたきっかけではあるのですが、高校生の時から深夜にTV東京でやっていた『RIVE2001』っていうダンス番組を見ていてダンス自体はかっこいいなという思いがありました。高校まではサッカーをずっとやっていたのですが、入学した大学がかなりのサッカー強豪校で自分のスキルの限界も感じてしまい、ちょうどサッカーを諦めてやりたいことがあるのだろうかと考えた時に、高校時代にダンスに興味があったことを思い出し、ダンスサークルに入りました。体育学部だったので、各々の主専攻の部活に入っている人が多くて、あまりサークルに入っている人は少なかったんですね。でも、ダンスをやってみたいなって気持ちは大きかったので、ダンス未経験で知り合いもいなかったですけど、1人ダンスサークルに飛び込みました。そこで初めて振付をもらって1ムーブ動いた時に身体中に電気が走ったみたいな感覚になったんですよ。自分にはこれしかないとその瞬間に思って、ずっと踊り続けています。」

「時代ごとに自分に刺激を与えてくださった方がいるので、本気で語るとものすごく長くなってします(笑)。例えばで挙げるとしたら今自分は東京で活動していて、そのきっかけになったダンサーさんっていうのがMISIAダンサーの皆さんです。HIPHOPっていうとDJとかラッパーとか色々なジャンルがある中で、ラジカセとミックステープがあれば練習できるっていう、他のジャンルよりもとっかかりやすかったこともあって、ストリートダンスを始めました。そのストリートダンスから舞台に立てるっていう夢を見させてくれたのがMISIAダンサーの皆さんだったり、PRIME TIMEやBASE HEADSといった当時東京のクラブシーンを盛り上げていた方々でした。その人たちの影響があって今の自分があると感じています。」

「初めてサークルで踊ったのもHIPHOPで、そこからずっと続けています。多分自分くらいの年齢の人ってそうだと思うのですが、20代前半の時にやっていたHIPHOPがいろんなジャンルがごちゃ混ぜになっていた感じがあって。HIPHOPの動きの中にもLOCKやPOPの動きも入ってくるし、その頃New Schoolが流行ってHOUSEとかも入ってきて色々なジャンルの人も側にいたので、HIPHOPといえど色々なジャンルをやっていたように思いますね。フリースタイルに近い感覚なのかな。」

「大学生の時はコンテストで勝つことしか考えていなくて、むしろ大学生のうちに結果が残せなかったら大学でダンスをやめるって決めていていました。だからコンテストに出る時は何かしら結果を残す意気込みでやっていましたね。大学3年生の時に、全国区の大学生・専門学生限定のBIG BANGというダンスコンテストがあって、そこで運よく優勝することができました。その後JAPAN DANCE DELIGHTの決勝まで出場する権利を得て、自分の中で大学生活中に自分の納得のいく結果を残すっていう目標を達成することができたので、大学卒業後もダンスを続けていく決意をしました。」

「とにかく研究。その頃はダンスの情報といえば大阪。ELECTRIC TROUBLEをはじめとする当時活躍していたチームにみんな憧れて目指していたので、ビデオをたくさん集めて、夜な夜なチームメイトと見て構成や振付の研究をしていました。でもその真似をしているだけでは、大学生の自分たちがこのシーンで残っていくことはできないなと思っていた矢先、MISIAさんのツアーのDVDを見たんです。その時にダンサーとして出ていたのがSTEZOさんU-GEさんなど東京で当時活躍していたダンサーさんたちで、このかっこいい人たちは、なんだと衝撃を受けましたね。そこから東京のクラブシーンに興味を持って、茨城に住んでいましたがチームメイトと車で夜クラブに行って8ミリビデオでショーの動画を撮って、持ち帰って何度も見て研究していました。人のショーを見て研究して、自分たちのスタイルに取り入れていく作業をとにかくたくさんしていたと思います。」

「バックダンサーなどの仕事は自分たちがショーをやるのとは違って、かなり自分の引き出しや懐の広さを試されることが多いです。今まで自分が経験してきたものを持って、人から求められたニーズにどれだけ応えられるかっていうところにやりがいを感じています。ダンサーって自分の個性やキャラクター、オリジナリティはすごく重要だとは思うんですけど、その自分の武器を持って求められていることに応えていけるかっていうのがかなり重要。それを評価していただくことや、やったことが次につながっていくところにもすごくやりがいに感じます。」

「今の子達は、昔とかなりダンスシーンも変わってきているので、自分と同じようにやるっていうのでは難しい部分もあると思いますが、変わらないことっていうのは絶対にあります。自分の場合は様々な人と接したことが、自分を形成する要素になったのかなと思っていますね。色々な人と踊ったり、価値観やスタイルに触れたりすることで、人と自分の違いや自分の経験したことのないかっこよさを知ることができて、それが自分の個性に繋がっていると思うことは多くあります。昔からそういう時間を過ごしたことが、かなり自分にとっては重要だったと今は思いますね。自分の踊りを貫くことも大事だけど、それ以上にその先にある周りの人や自分に関わるすべてを大切にするっていう気持ちを持つことで自分のことも大切にできる。ありがたいことに自分は周りに必要としてもらえて、それに応えようと行動したことが今の自分を形成しています。」

「基礎的なダンスの技術はファンデーションとしてダンサーに必要なスキルではあると思っているのですが、それ以外に必要になってくるのは人の言葉を聞くスキルですかね。言葉に限らず、相手が伝えようとしていることをキャッチする能力が大切で、それを聞いた上でどう自分が対応していくかということにつながります。頭の良さも必要だと思うし、そういう部分でちゃんと受け入れられる柔軟性も必要になってくる。それができれば、人の振りを覚えることも、自分の得たことのないスキルを取り入れることも早くなってくる。一度自分の中で寛容に取り入れて、そこから取捨選択しながら洗練させて磨き上げていく追求力も必要。それは感覚的なスキルでしかないですけどね。」

「今って昔よりダンサーが活躍、活動しやすい時代ですよね。SNSの普及もあり、自分の活動を発信しやすいと同時に、色々な人たちの頑張りがあって、ダンサーという職業・アーティストとしての価値がすごく上がっている時代になっているじゃないですか。それってすごく素晴らしいことだし、これからの子たちには未来のある時代になったなと思うんです。けど、その中で行くべき時に行き、出会うべき人と出会うっていう行動力が大事だと思います。1つ1つのアナログ的な、思い立った時に起こせる行動力っていうのが、直接的につながらなかったとしても、後々小さなことが重なって大きな仕事に繋がることもたくさんあると思う。なので、行動力とフットワークの軽さがバイタリティとしてすごく重要で、家で携帯を見てアップロードしているだけじゃ出会えないものに出会って、そこからダンス以外のプラスαな自分のスキルを見つけ出していくことが大事なんじゃないかなって思います。」

「20代で色々なチームで出続けて、運よく様々なアーティストさんとお仕事をさせていただけて、それが今の自分にも繋がっています。30代では唯一無二な経験をさせていただいて、今ではそれなりに色々な人が自分のことを知ってくれているという実感は湧いてきているのですが、30代の終わりくらいで自分のダンスの落とし所を考えていて。若手も出てきているし40代をどう過ごそうと思ったのですが、ここまできたら踊り続けてやろうという展望が自分の中で明確になってきています。ただそれも闇雲に出ようっていうのではなくて、コロナ自粛後に今まで同じように過ごしていた仲間たちとショーに出たり、色々な話をしたりして、自分が大切にしている人、近くにいてくれる人たちとずっと踊っていきたいなっていうのがプレイヤーとしての展望。若い世代の育成だったり、アーティストとしてやっていきたい子達に伝えられる機会をいただけた時に、その人たちに伝えられる言葉の1つ1つになっていけるように活動していきたいなと思っています。」

Talk about stylng
「このパンツは、踊った体感は軽くて、伸縮性がありました。ナイロンっぽい素材なのでどうなのかなと思っていましたが、動きやすいです。」

Talk about sneakers
「ソールが踊りやすくて、踊ってて自分の力を何倍にも弾ませてくれる感じがしました。踊る時はフラットなもので踊ることが多いので、ランニングタイプは踊りづらいのかなと思っていたのですが、そんなことは全くなかったです。エアーのクッション性がすごくて、めちゃくちゃ踊りやすかったです。」

着用モデル
ナイキ エア マックス プラス
dm0032-401
税込 ¥22,000
https://www.atmos-pink.com/item/nike/dm0032-401

ACHI Profile
筑波大学で出会った仲間とstack'sを結成。
JAPAN DANCE DELIGHT vol.11 FINALIST、BIGBANG!TOKYO 優勝、DANCE FLASH 2位という結果を残す。2005年、単身上京しRockwilderのメンバーとして都内を中心に活動。
w-inds.、東方神起、倖田來未、3代目J SOUL BROTHERS、安室奈美恵、黒木メイサ、Cristal Kay、松下優也、板野友美など多くのアーティストのバックダンサーを歴任。また、ZEEBRA氏が発足させたHIPHOPレーベルGRAND MASTERにもSHOWGUNとして参加する他、ダンスイベントの企画・運営 、TRFのSAM氏監修のアクティブシニアプログラム「ダレデモダンス」公式アドバイザー等も務める。

STAFF CREDIT

Model: ACHI
https://instagram.com/achiwilder

Photo:Momoko Maruyama
https://www.instagram.com/momoko0127

Movie:A YO-SIN JOINT
https://www.instagram.com/yo_sin

Edit & text:megu
https://instagram.com/megu3_0729

Production:bashment
https://www.instagram.com/bashment_inc/